02仕事の「やりがい」とは?「教師」という仕事にしますか?「他人に認めてもらいたい」という欲求です。音楽に生涯を捧げる人もサッカーに情熱を傾ける人も、ただ「歌ってさえいれば幸せ」「ボールを蹴っているだけで楽しい」と思っているわけではないでしょう。音楽やサッカーを通して、自分が懸命に生きてきたことの「やりがい」を軸に職業や人生を考えるとき、皆さんは何を基準「仕事の面白さ」「能力を活かしたい」「人のためになる仕事をしたい」「社会に貢献したい」等、人によって答えは様々に違いありませんが、生きている実感を得られる確かな成果、言い換えれば懸命に生きたことの「証(あかし)」を世に残したいという思いは、誰しも共通するのではないでしょうか。人間のもっとも強い欲望は、「自己実現」に対する欲望であり、証を世に問いたいという思いがあるからこそ、全力で「何か」に打ち込むことができる。それはどんな仕事でも同じです。私は、社員に以下のような問いかけをします。「一所懸命に生きて、世に何を残すのか」…と。世に残すべき「証」とは、何なのでしょうか。「金(財産)を残す」こと、「名(地位や名声)を残す」こと、それらもひとつの素晴らしい「証」です。しかし、“教育”は「金を残す」こと、「名を残す」こと以上に大切な「人を残す」仕事なのです。私たちの仕事の現場は教室です。学習塾として、受験に向かう子どもたちの学力を向上させるべく授業を行います。しかし、勉強を教えるだけならコンピューターにだってできるし、出来の良い参考書があれば済むかもしれません。では、我々を真の「教育者」たらしめるものは何か。それは、子どもの人生に深く関わる“熱い魂”を持つことです。生徒たちに夢を抱かせ、意欲を湧きあがらせ、諦めずに挑戦する姿勢と達成の喜びを教える。道を見失っている子どもには輝く道標を示し、必要とあれば厳しく叱咤することも辞さない。そうした魂と魂のぶつかりあいを通して、はじめて子どもたちは成長し、やがては将来を担う人材として羽ばたいていきます。その人の生き方や言動に触れて意気に感じ、次世代の社会へ貢献する新たな人材が生まれてくること。それこそが「世に人を残す仕事」としての真の教育であり、これほど壮大で素晴らしい「生きてきた証」は他にないと思うのです。さなるグループ最高責任者佐藤 イサク「教育」は世に人を残す仕事
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