「読書」と「国語」の関係
「うちの子、全然本を読まなくて…」と悩まれる保護者の方は多いようです。ただ、それが直接、国語の力が弱いことにつながっているかというと、必ずしもそうとは限りません。実際に多くの生徒を見ていると、「国語のテストで得点する」という目的においては、読書量の「多い」「少ない」はそれほど影響していないことがわかります。「うちの子は本の虫で…」というお子さんの国語の成績は、標準レベルには達しているものの、全員が高い偏差値というわけではありません。逆に、普段から読書はあまりしなくても、国語の成績が良い子はたくさんいます。
そもそも読書とは、「文字情報をイメージする」練習に最適であり、それに付随するかたちで語彙が豊かになっていくものです。読書の結果として育つのは、「自分がイメージできているものを具現化する能力」であり、それは、「国語の試験で求められる力」とはまた違ったところに位置するものなのです。
文章問題を正確に解くポイント
では、「国語の試験で求められる力」とは何でしょうか?漢字・語句・文法などの知識はもちろんですが、最も必要とされるのは、「文章に書かれている内容を正しく読み取り、問われている内容に的確に答える」力です。その力を身につけるには、定期的に国語の問題を解くこと、その際に、以下のポイントを実践することが大切です。
①一定の長さの文章を読む習慣を身につける。
文章を読む習慣を身につけるには、国語の問題集が最適です。一冊の中で、説明文・小説文・随筆文などさまざまなジャンルの文章を扱っているものが多く、それぞれが適切な分量に収まっています。問題を解きながら読み進めることで、(無理にたくさんの本を読まなくても)自然と長文に触れることができます。
②論理的に読みながら、書かれている内容を正確に理解する。
国語が苦手な子は「文章をなんとなく読んでいる(眺めている)」傾向があります。そうした場合、たいていは書かれている内容を正しく理解できていません。文章には必ず筋道や展開があるため、前から順番に文章を追いながら、「一つひとつを正しく理解しながら読み進める」ことを意識するようにしましょう。最初はゆっくりで構いません。論理的・分析的に読めるようになれば、設問にも正しく解答できるようになります。
③「答えは必ず文章中にある」という視点で問題を解く。
国語の問題の答えは、必ず文章中にあります。正答が出ていない数学や理科の問題と違って、「どこに書かれているか」「どの記述がヒントになるか」を探し当てるのが、国語という教科のテストです。あきらめずに解答の根拠となる記述を探し、自分なりに答えを導き出すことが大切です。
④自分が書いた答えを模範解答と照らし合わせ、丁寧に答え合わせをする。
自分が書いた答えを模範解答と照らし合わせ、「どこが違うのか?」「この答えで〇がもらえるのか?」を追求すること。納得いくまで丁寧に答え合わせをすることで、問題への対応力が身についていきます。
まとめ
Q.国語の得点が伸びません。もっと読書をするべきでしょうか?
A.読書も有効ですが、まずは国語という教科を理解し、正しい学習法を身につけましょう。
★「読書量」と「国語の学力」は、必ずしも比例するものではない。
★「国語の試験で求められる力」がどのようなものかを認識する。
★練習によって、国語の学力は必ず伸びる。正しい学習法を実践すること。