教えてくれたのは…
■管理栄養士/中尾 友紀さん
私たちを取り巻く環境の変化によって、食生活も大きく変わってきています。“食育”という言葉をよく耳にするようになり、親子で一緒に料理をする機会も増えてきています。子どもが主役の料理教室を運営する中尾さんに、お話を伺いました。
Q:家庭でできる“食育”について教えてください。
A:食に興味や親しみを持つきっかけを作ってあげましょう。
食に興味や親しみを持てる環境作りが“食育”のスタート地点になると思います。例えば自分が食べているメニューにはどんな食材が、どんな調理法で使われているのか?一つひとつの食材にはどんな特徴があるのか?これらを知ることで、子どもたちにとって食はぐっと身近なものになります。私の料理教室では“五感”で感じてもらうことをとても大切にしています。「焼くと色が変わった!」「こんな匂いや感触なんだ」など、料理を通して子どもたちはたくさんの発見をします。こういった小さな発見の積み重ねで、食が身近で面白いものとして捉えられると良いと思いますね。
Q:料理の第一歩、家庭では何から始めたら良いでしょうか?
A:きっかけは日常のいろいろな所にあります。お子さんと一緒に探してみましょう。
重要なのは子どもが食に興味を持てることなので、子どもが好きなメニューや、作ってみたいと思うものなど、スタートは何でも大丈夫ですよ。学校で都道府県を習い始めたらスーパーで産地を見ながら食材を選んでみたり、旬の食材から考えてみたり…。きっかけは日常の中にたくさんあります。もちろんできることはお子さんによっても違うので、「少し難しそうかな?」というメニューも、大人が手助けをしながら少しずつできる手順が増えていけば問題ないと思います。簡単なレシピ本も販売されているので、お子さんが気になるものを一緒に探してみるのもいいですね。
Q:子どもたちに料理に挑戦する上で、保護者が気をつけることはありますか?
A:料理に失敗はつきもの。前向きな声がけをしてあげましょう。
子どもたちの料理は、はじめはどうしても時間がかかりますし、食材や道具も散らかります。「こうした方が早いのに」などつい手を出したくなる瞬間もあると思いますが、保護者のみなさんにはぜひ黒子になった気持ちで、じっと見守ってあげてほしいと思います。一方で、安全に料理をする方法を伝えるのも保護者の責任です。どう危ないのかをしっかり伝えた上で、なんでも取り上げてしまわずに挑戦させてあげてください。そして小さなことでもできたら褒め、食事を作ってくれたことに感謝してあげてください。前向きな言葉が子どもたちの自信となっていきます。
料理教室で教えているお子さんを見ていると、作業の段取り力や集中力が育まれているのはもちろんですが、“失敗した時にそれをどう取り返すか?”という姿勢が身についていると感じます。料理を通して、子どもたちが心身共にたくましい人に成長していってほしいと思います。
PROFILE
中尾友紀さん(管理栄養士)
愛知県豊橋市で、こども専門料理教室「こどもの料理」を運営。「たくましく生きる力を」をテーマに、フリーの管理栄養士・キッズキッチンインストラクターとして食育活動、レシピ執筆を行う。中学生、小学生、保育園児の3児のママ。静岡県立大学食品栄養学部栄養学科卒。