教えてくれたのは…
■愛知県赤十字血液センター/鵜飼俊行さん
意外に知らない、献血のこと。
親子時間が増える夏、「命」のこと・「明日の自分」のことを知り、考える機会を持つのはいかがでしょうか。
Q:先日、娘から、「献血ってどうして必要なの?」という質問を受けました。
献血について、どのように説明したらよいでしょうか。
A:献血は、16歳から可能な「命をつなぐボランティア(社会貢献)」です。
血液は人工的につくることができず、長期保存もできないため、多くの方の協力が必要です。
輸血用の血液は、現在の医療技術ではまだ人工的につくることができません。
また、献血いただいた血液を長い期間にわたって保存することもできません。(※1)
そのため、一日に平均約3,000人の患者さんが必要とする血液を、安定的に確保しておくためには、一日あたり約14,000人の献血が必要となります。
献血は16歳からご協力いただけます。お近くの献血ルームはもちろん、献血バスが地域のショッピングモールや企業、学校などにお伺いしております。献血の条件と併せて「赤十字血液センター」公式ホームページで献血バス運行スケジュールをご確認頂ければ嬉しいです。
※1:血しょう製剤は一年間、全血・赤血球製剤は21日間、血小板製剤に至ってはわずか4日間の有効期間しかありません。
Q:自由研究にもよさそうですね。
小学生にも分かりやすいイベントや参考になるホームページなどはありますか?
A:例年、夏休みに「親子血液教室」を開催しています。(※昨年度はオンラインで開催)
また、WEB上では360°バーチャル施設見学をすることもできますよ!
愛知県赤十字血液センターでは毎年、「親子血液教室」を開催して、血液や献血について楽しく学べるように努めてきました。昨年は「動画でみる夏休み親子血液教室2021」を期間限定で公開し、「分かりやすい」「血液センターから遠くても参加できる!」など、おかげさまでご好評をいただきました。今年も開催予定で進めておりますので、決定次第「愛知県赤十字血液センター」公式ホームページにて告知予定です。楽しみに待っていて下さい。
また、360°バーチャル施設見学もおススメです。
東海北陸7県では、「愛知県赤十字血液センター」(愛知県瀬戸市)と同じ敷地内にある「東海北陸ブロック血液センター」で輸血用血液製剤を作っています。ここでは、検査・製剤の様子をガラス越しに見学したり、資料映像やパネル展示をご覧頂いたりすることができます。以下の公式URLからいつでも見学できます。ぜひ、アクセスしてみてください。
■360°バーチャル施設見学「愛知県赤十字血液センター」公式URL
https://www.bs.jrc.or.jp/tkhr/aichi/special/m6_04_index.html
Q:子どもが興味を持ちそうな「献血の豆知識」があれば教えてください。
A:親子血液教室や献血セミナーで、クイズ形式にして出題したりしています。
「献血いただいた血液が一番多く使われているのは何の治療?」「人の全身の血管をつなげると全部で何km?」など、お子さんと夏休みに楽しみながら知識を深めてください。
例えば、「日本人の2人に1人はがんになる」のは比較的良く知られていますが、「献血いただいた血液が一番多く使われているのはがん治療」なのは意外に知られていないようです。抗がん剤を使った治療では健康な造血幹細胞も攻撃してしまうため、多くの場合、一緒に輸血が必要になります。
また、人体の基本について触れても面白いと思います。人間の全身の血管をつなげると約10万km(地球約2周半)になることなど、血液にまつわるエピソードは調べると面白いことがたくさんあり、理科的な興味関心を引き出すきっかけにもなります。
「血液型って何?」「血液ってどんな役割があるの?」など、ご家族での会話を通して、献血の大切さについて一緒に考えていただくのも良いかもしれませんね。
PROFILE
鵜飼俊行さん
日本赤十字社「愛知県赤十字血液センター」(愛知県瀬戸市)勤務。愛知県民の皆さまに献血の大切さや重要性を広く知ってもらうための普及啓発活動に携わっている。