教えてくれたのは…
■整理収納アドバイザー/大原友美さん
つい親子の衝突の原因になってしまう“片づけ”。整理収納のプロである大原さんも、かつてはお子さんに「片づけなさい!」と叱ってしまうことがあったとか。そんな自らの経験から、悩める家族に「親と子の片づけ」についてセミナーや講座を行っているそうです。片づけとうまく付き合う方法について教えていただきました。
Q:片づけしない我が子を見てついイライラ…。どんな心構えが必要ですか?
A:“まずは親が実践”の気持ちを持ちましょう。
子どもが成長するにつれて、片づけも自然とできるようになると考えてはいないでしょうか?子どもたちも頭では「部屋は綺麗な方がいい」ということを理解していますし、片づけが全くできないお子さんというのも基本的にはいません。私たち大人でも面倒くさいと感じてしまうことがありますよね。子どもたちはいろいろなことに興味を持ち、「友達と遊びたい!」「ゲームがしたい!」などと片づけの優先順位が下がっているだけだったりします。大人はこのことを理解し、“まずは親が実践“の気持ちで「一緒にやろう」と声がけできると良いですね。
Q:子どもの片づけにおける、親の役割は何でしょうか?
A:本人の“こうしたい”を引き出してあげる存在になりましょう。
保護者のみなさんには、積極的にお子さんの声に耳を傾けてあげてほしいと思います。「机の横にランドセルを置く場所が欲しい」「この本はもう必要ないけれど、こっちは大切に保管したい」など、子どもたちなりの“こうしたい”という考えを持っています。物に対する思いは人それぞれです。親の考えを押し付けてしまっていないか常に問いかけながら、子どもと一緒に考え、その思いを引き出してあげる機会を設けてあげましょう。自分で考えることで、前向きに片づけとも関わっていくようになります。お子さんの考えを引き出せる環境づくりは、片づけに限らず大事ですよね。
Q:実際に片づける際に気をつけるポイントはありますか?
A:片づけとは「分ける」こと。シンプルな発想で取り組みましょう。
片づけを「捨てること」だと考えられている方もいますが、重要なのはむしろ「分けること」です。小さい頃は何かを手放すことに抵抗を感じやすいので、好きなものから順に選ばせてあげると、徐々に必要な物の基準が分かるようになっていきます。小学生からは、いったん全ての持ち物を出して、用途や種類別に分類しましょう。勉強道具は学習机の上に、遊び道具はクローゼットの中など、分ければ自然とその物の行先が見えてきます。テレビや本で様々な片づけ術が紹介されていますが、あまり難しく考えず、シンプルで続けやすい仕組みをお子さんと共に作ってみてください。
自分の持ち物の「いる・いらない」の選択を繰り返していくことが、ゆくゆくは自分の進路や職業について、自分自身で意思決定ができる人になるための訓練になると思います。小さな積み重ねですが、ぜひ保護者のみなさんがお子さんの片づけの力を引き出してあげてください。
PROFILE
大原友美さん(整理収納アドバイザー)
正しい片づけ、整理収納により心地よい暮らしを提案する『Smart Life Style(スマートライフスタイル)』代表。3児の子育てと仕事を両立しながら「親・子の片づけ」についてセミナー、コンサルティング、メディア出演などを行う。『整理収納アドバイザー1級』『整理収納アドバイザー2級認定講師』『親・子の片づけマスターインストラクター』『住宅収納スペシャリスト認定講師』の資格を持ち、講師歴は10年にわたる。