【高校・大学】「探究」重視の学びが加速! 高校生の学習、どう変わった?小・中学生への影響は?

教育

2022年春、いよいよ新高校1年生から新学習指導要領が適用されます。「暗記重視」と言われた従来型の授業から方針転換し、討論などを取り入れた「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング、AL)」で思考力や表現力を積極的に育むことが定められました。

3月には、2023年度から主に高校2年生が使用する検定教科書が決定。いずれも生徒自らの「主体的な学び」を促す内容や工夫が随所に見られました。

高校生の学びはどう変わったのでしょうか?そして、小・中学生の子どもたちは、未来に向けてどのようなことを意識すれば良いのでしょうか?

高校の教科・科目が変わる=大学入試も変わります!

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高校生も新しい教科書になると聞きました。科目も前とちょっと違うとか…?まだまだ先の話とも思いますが、子どもたちの受ける大学受験の科目も変わるのでしょうか?

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高校新課程の最大のポイントは「教科や科目の再編」です。メインとなるのは「地理歴史」「外国語(英語)」「国語」、そして「理数(新設)」です。文系・理系を問わず必履修となった「歴史総合」「地理総合」、主権者教育を行う「公共」、プログラミングを学ぶ「情報Ⅰ」、数学や理科の考え方を身につける「理数」などが増えました。

上記は、2025年の大学入試から出題が予定されていますので、今年の新高1の子たちから下の世代が対象になりますね。

2022年度の高1生が学ぶ教科・科目は、それまで高校生が学んでいた科目から大きく変わります。

今回の改訂のキーワードはずばり「探究」です。ざっと見ただけでも、「探究」という言葉がついている科目が「古典探究」「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」「理数探究基礎」「理数探究」と出てきます。国語は、現行の選択科目「現代文」が、評論文が中心の「論理国語」と小説などが中心の「文学国語」に分かれることになりました。「公共」「情報」など、私たち親世代には見慣れない科目も加わっています。

小中学校でおなじみの「総合的な学習の時間」も高校では「総合的な探究の時間」となり、より深く踏み込んだ学びを求められることになります。今回、検定に合格した教科書にも、教科に限らず「SDGs」や「新型コロナウイルス」など社会的に注目されるトピックスを通じて自分の考えをまとめ、授業で話し合いを促す内容などが目立ちました。

入試への影響も気になるところです。2021年度「大学入学共通テスト」では記述式問題の導入が見送られましたが、国公立大学の二次試験はもともと記述式が中心。今後、高校の「探究」で身につけた力が問われる出題が増えることが予想されます。

キーワードは「探究学習」。でも、どんなことをするの?

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最近では、「探究学習」という言葉も耳にするようになりました。授業では何を目的に、どんなことをするのでしょうか?

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「探究学習」の授業では、課題解決のための資質や能力の育成を目標とします。小・中学校の学習指導要領でもキーワードとなった「思考力・表現力・判断力」を育てるため、討論や調べ学習など、「生徒が自ら調べ、学ぶ授業」が全国の学校で始まっています。

例えば、ある教科書会社の「地理探究」ではこんな手法が紹介されています。生徒が日本の地理を巡る課題を自分で見つけ、問いを立て、統計資料などから過去のデータを集めて検証したり、関係者から聞き取り調査をしたりしてレポートにまとめて発表する。問題提起から結果の発表までを、自分で考えて組み立てなければなりません。

また、国語・社会・数学など多くの教科で、「新型コロナウイルス」やそれに関連する社会への影響(観光・政治・経済への影響など)が取り上げられています。コロナに関する項目では、「オンライン授業と対面授業のどちらがよいか」を多面的かつ多角的に考えさせるなど、生徒の身近で現代的な話題を取り上げ、社会に出た後に必要な「自ら考えて行動する“課題解決能力”」の土台を養う学習方法が志向されています。

「覚える」学習はもう不要?いいえ、今まで以上に知識の重要性が高まっています!

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私たちの頃は「社会は暗記科目」なんてイメージがありましたが、調べ学習や討論などが中心になるということですね。子どもたちも、大量の暗記から解放されてラッキーかな?

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いえ、実はそう楽観視もできません。大前提として小・中学校までの「基本となる幅広い知識」をしっかり身につけていなければ、課題を見つけることすらできない(スタートラインに立てない)状態になるのです。子どもたちの「基礎学力」の底上げが、ますます重要な時代になってきているんです。

例えば「社会」の歴史は、今までは「日本史」「世界史」と分かれていて、どちらかは入試で使わないので選択しないというケースもありました。新設される「歴史総合」は、日本史と世界史を融合し、近現代を中心に全員が学ぶ必修科目となります。日本と世界の歴史を総合的な視野から捉え、図や表・グラフなどの資料を活用しながら、現代の諸問題がさまざまな歴史的背景から起こっていることを読み解いていきます。むしろ今まで以上に多くの知識を身につける必要が出てきているのです。

「思考力重視」というと、必ずと言っていいほど「旧来型の詰め込み教育」の弊害が話題に上がります。しかしこれからの勉強は、「教科書の内容を理解し、覚えることは大前提。それを活用して自分で課題を見つけ、疑問に思ったことを調べ・考え・答えを導き・分かりやすく伝える」までが評価の対象となるのです。

知識がなければ、その先を思考・判断するまでに到達することはできず、「探究学習」自体が成り立ちません。小・中学生までの「基礎知識の徹底」が、将来をより左右する時代になっているのです

進級・進学の春。前年度までの学習内容は、大丈夫でしょうか?お子さん自身も、保護者の皆様からも、日々の学習や知識の定着度を時々立ち止まって点検するとともに、日常生活から「なぜ?」「どうして?」と考える習慣を意識して作っていきたいものです。

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