勉強に「暗記」は付きものです。ただ、目の前にある学習内容を闇雲に覚えようとしても、なかなか頭に入りません。限られた時間で効果的に知識を定着させるためには、どのような工夫をしたらよいでしょうか?
忘れる前に学習し直す
「脳は、覚えるより忘れるほうが得意だ」と言われます。有名な『エビングハウスの忘却曲線』にあるように、学習した内容は、1時間後に56%、1日後に74%を忘れてしまいます。記憶は覚えた直後にどっと忘れるため、適切なタイミングで反復しない限りは定着しません。授業で新しい内容を学んだら、あまり時間を置かずに、できるだけ早くもう一度学習することをすすめます。「さなるから帰宅したら、すぐに復習するよう」指導しているのは、このためです。
適切なタイミングで反復練習をする
脳に蓄えられた情報は、繰り返し勉強することで再び記憶としてよみがえります。学習した当日、遅くとも翌日には1回目。一週間後に2日目。次に、この復習から二週間後に3回目。最後に、3回目の復習から一ヶ月後に4回目。最初の学習と4回の復習の間隔を広くしながら、およそ2ヶ月間かけて復習を行うのが理想的です。定期テストや入試に向けても、このペースを意識すると、高い効果が得られるでしょう。
さまざまな情報と関連づけて覚える
「覚え方」を工夫することもポイントです。人間の脳は、語句や単語それだけを単体で暗記するよりは、さまざまな情報を関連づけて覚えたほうが、効果的に記憶に残ると言われます。例えば、歴史で「応仁の乱」を暗記しようとする時、その言葉だけを覚えても意味がありません。時代背景や歴史上の位置づけなどと結びつけて頭に入れることで、初めてしっかりとした知識として定着します。覚えたい内容をノートに書く時は、その背景もあわせてメモするとよいでしょう。
アウトプット型の学習をする
たくさんの情報を詰め込んで「入力」し続けるよりは、「出力=アウトプット」させるほうが、学習内容は効率よく頭に入ります。教科書や参考書を黙読するより、問題集を何度も解くほうが定着しやすくなるのはそのためです。新しい内容を理解したら、それを誰かに説明してみるのも記憶に残り忘れにくくなるでしょう。
『伸び悩みの壁』を知る
勉強と成績(成果)の関係は、単純な比例関係のようにはいきません。例えば、50時間勉強すれば10時間やった時の5倍の成果が現れるかと言えば、そうではないのです。いつものように勉強していても、それほど成績が上がらない「停滞状態」が続き、ある時期を経てから急激に上昇する「2次曲線」のカーブのように、いきなり成績が伸びる時期が訪れます。逆に言えば、成績がよくなる前には、ほぼ必ずと言っていいほど「勉強をしているのに、なかなか成果が出ない」時期があるのです。
まとめ
「暗記が苦手」だと思う人は、復習するタイミングや覚え方を見直してみましょう。ちょっとした心がけで、定着度が変わってくるはずです。また、なかなか成績が上がらない時期があっても、『勉強の2次曲線』を自覚し、あきらめずに粘り強く取り組みを続けることが大切です。受験生は特に心がけておきましょう。
Adviser
齊藤雅弘(佐鳴予備校教師)