近年、子どもたちの「読解力」がカギを握る場面が増えています。
そもそも、読解力とは「文章を正確に理解し、適切に解釈する能力」のこと。大学入学共通テストや高校入試でも問題文が長文化する傾向にあり、限られた時間内に文章の内容を正しく理解して総合的に判断する力が一層求められています。
では、どうしたら子どもたちの「読解力」を伸ばすことができるでしょうか。ポイントとなるのは、やはり日常生活の中でいかに「活字に触れる機会」を設けるかにあります。今回は、小学生にとって最も身近な「読書」を意識して保護者がサポートすることで、すべての学力の基礎となる力を身につける方法を紹介します。
1. 読書習慣を身につける
小学生の読解力を伸ばすために最もイメージしやすいのは、まずは読書習慣を身につけさせることでしょう。小学校低学年であれば、まだまだ絵本も活用できますし、本人が好む漫画や雑誌からでも構いません。毎日少しずつ、興味を持った本を読んでいくことで、子どもたちの読解力は向上していきます。1冊読んだらノートにタイトルを記入する、カレンダーにシールを貼るなど、目に見える形にすると喜ぶ子もいます。
また、一緒に地域の図書館に行き、まずは気に入った表紙のものを手あたり次第に借りてみるのも手です。途中で読むのをやめてしまっても費用はかからないため、あまり気にせず次の本に行くことができます。まずはご家庭で、図書館に行く習慣をつけることから始めても良いかもしれませんね。
2. さまざまなジャンルの文章を読む
少しずつ本を開くことに慣れてきたお子さんには、ジャンルの幅を広げてあげましょう。小説だけでなく、科学や歴史、地理、図鑑などさまざまなジャンルの本を読むことで、子どもたちの知識や語彙力が豊かになり、読解力の向上につながります。ノンフィクションの本は日常生活とリンクすることも多いので、物語文には興味を示さなかった子にも強く働きかける可能性があります。また、テレビや新聞など他のメディアに触れた際に、「これ、聞いたことがある」と思うだけでも、視野を広げるきっかけになります。
3. 親子で同じ本を読んで話し合う
読解力を伸ばすには、読んだ本の内容をアウトプットすることも大切。子どもたちは、本の内容を覚えていることはできても、自分の言葉で説明したり表現したりすることは難しい場合があります。そのため、子どもたちに自分の考えを言葉にして表現する機会を与えることが必要です。親子で「読書ノート」を作って簡単な感想を書き合ったり、本をテーマにして食卓をプレゼンテーションの場にしてみたり。また、じっくり親子で向き合えるときは、読書感想文や読書感想画などに挑戦しても良いですね。小学生向けのコンクールも年に数回行われていますので、そうしたコンクールへの出品を目標にしてみても良いでしょう。
4. 語彙力の強化(知らない言葉を調べる・使う)
子どもが文章の中で知らない言葉に出会い、「◯◯ってどういう意味?」とご家族に聞いてきたときは大チャンスです。国語辞典・漢和辞典などの辞書やタブレットの検索機能を使って調べる方法を教えたり、ご家族のエピソードを交えてたとえ話や思い出話をしたりして、新しい語彙が頭に残っていくきっかけを増やせるよう、促してあげましょう。最近ではことわざ・慣用句の知識を増やせる漫画やドリル、学習カードなども豊富にありますので、それらを併用するのも一手です。
5. お話の内容を想像し、続きを作る
子どもと一緒に、読んだ物語の続きを想像することも楽しい取り組みです。子どもたちは、想像力を使うことで読んだ内容をより深く理解することができます。例えば、物語の主人公の気持ちや周囲の風景、動物の性格や植物の見た目などを、子どもたちが自分で想像できるようにしましょう。そこから発展させて、お話の続きや新しいストーリーを作ることも有効です。(読解力が高まると同時に、文章作成力も向上します。)お子さんが作った物語をご家族で読み、感想を言い合うのも楽しいですよ!
6. 要約の練習に挑戦する
子どもに読んだ文章を要約する練習をすすめてみましょう。文章の主題やポイントを把握しやすくなります。特に中学受験を考えている場合、国語では「筆者の主張をまとめて、決められた字数で解答を記述する」問題が出される学校も少なくありません。また、選択式の問題であっても、文章の要点に沿った選択肢を答える問題は多く出題されています。ポイントの抜き書きから始め、だんだん自分の言葉で要約できるよう、段階を踏んで練習すると良いでしょう。
7. クイズやゲーム形式を取り入れる
読解に特化した問題集を子どもに解かせるのも有効ですが、そこはやはり「お勉強」になりすぎない工夫が必要です。子どもと一緒に問題文を音読したり、保護者がクイズやゲーム形式に問題文の表現をアレンジしたり。口頭で「ピンポーン!」「やったね!」など声掛けをするだけでも、子どもたちは楽しみながら読解力強化に取り組むことができます。とにかく楽しい雰囲気を作ってあげる工夫をしてみましょう。
Adviser
さなる個別@will 「読書の力」担当
内田雄斗