豊かな図形感覚を育むためには、日常生活の中に「かたち」を意識するようなさまざまな遊びや習慣を取り入れるのがベストです。
子どもの年齢によってアプローチ方法は変わりますが、行動できそうなものから試してみましょう!

 

観察してみよう!身の回りのかたちを探してみる

生活の中にたくさんある「かたち」。どんな場所にどんな形が使われているのか、身の回りのモノに興味を持つことで、図形感覚が養われます。

たとえば、コップは真上から見ると丸ですが、横から見ると四角になります。また、冷蔵庫によくある野菜なども適した題材です。たとえば大根そのものは円柱のかたちですが、タテに切ると断面は四角、ヨコに切ると断面は丸、いちょう切りにすれば扇形を作ることもできます。

見るだけでなく、実際に触ることで立体感覚が養われるため、親子で切って楽しんでみましょう。

 

やっぱりこれ!パズルでたくさん遊ぶ

パズルは、図形を使った遊びの代表例です。ピースの形や絵柄をヒントにして出来上がりをイメージしながら、「どのパーツをどのように使ったらよいか」を逆算して考えることで、論理的思考力や想像力が育まれます。

また、積み木やブロックなどの立体玩具は、手を動かして組み合わせたり積み上げたりしながら「立体図形」の感覚をつかむことができるため、遊びにたくさん取り入れるのがおススメです。

完成した時の達成感を得られるのも、子どもにやる気と自信をもたらすことでしょう。

 

発見が楽しい!折り紙でさまざまな工作をする

折り紙には、さまざまな図形が得意になる秘密が隠されています。手指を動かしながら工作する中で、「ここを折ったらこんな形になるんだ」「切って開くと左右の形が同じになるんだ」などの発見ができ、「どうすれば完成形に近づくか」を考える過程で、思考力や想像力が育まれます。

また、ハサミを使って切って開くことも、線対称や点対称などの感覚の育成に役立ちます。一つの作品を完成させるのに、「どの色を選ぶのか」「色の組み合わせはどうしようか」などと工夫ができれば、豊かな創造力も養われるでしょう。

 

できるかな?フリーハンドで図を描いてみる

紙とペンを用意して、子どもにフリーハンドで図を描かせてみましょう。「台形」「正六角形」「円」などの平面図形から始め、慣れてきたら「直方体」「円すい」などの立体図形にも挑戦させます。

うまく描けない場合は、白紙ではなく方眼紙を使って、実際の形を見ながら作図するのもOK。手を動かしながら描くのを繰り返すことで、だんだん感覚がつかめるようになってきます。

やがて図形を全体像で認識できるようになってくれば、頭の中で回転・移動・反転などがイメージできるようになるでしょう。

 

耳から慣れる!空間を意識させる言葉がけをする

日常生活の中で、子どもへの言葉がけを意識してみましょう。

「あれを取って」「そこにある」など、こそあど言葉を多用していませんか?それらをやめて、位置・方向・形をあらわす言葉を積極的に投げかけるようにしましょう。たとえば、「右上の棚にある四角い箱を取って」と言い方を変えるだけで、聞いている子どもの空間認識能力を刺激することができます。

他にも、「距離は何歩くらい離れている?」「自分から見てどっちの方向?」というように、子ども自身に考えさせて答えさせる質問をするのもよいでしょう。

 

挑戦してみよう!図形問題をたくさん解いてみる

小学3~4年生からは、たくさんの図形問題に挑戦しましょう。「どうすれば解けるのか」を粘り強く考えていく過程でイメージする力が養われ、学校で習うような図形の性質も理解できるようになります。

すでに図形が苦手になっている子は、ある程度の自信を持たせなければいけません。まずは基本・標準レベルの問題をたくさん解いて、解法のパターンを把握し、「この問題、見たことがある」という経験を積みましょう。その一歩が、やがて図形問題を解くのに必要な応用力養成につながっていきます。

 

Adviser清水 由香利(さなるグループ教師)
小中学生の学習指導を行うプロフェッショナル教師。担当は算数・数学。子どもたちに「学ぶ楽しさ」「知る喜び」を伝え、自発的な学習習慣が身につくよう温かくサポートする。

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