やる気を引き出す親の働きかけ【旭丘高等学校 前校長・佐鳴予備校最高顧問 杉山賢純】

特集記事

大学入試改革、教科書改訂、オンライン授業、GIGAスクール構想…。2021年は教育界にとって、さまざまな意味で大きな転換点となりました。変化する時代の中で、小学生の子どもが「今」すべきこと、私たち保護者が改めて意識すべきことは何なのか?今回は、愛知県立旭丘高等学校などで校長職を歴任された、杉山賢純先生にお話を伺いました。実際に多くの子どもたちを指導し、さまざまな保護者の子育ての悩みに応えてきた経験を基に、すべての学習の土台となる「子どもたちのやる気を引き出すコツ」について教えていただきます。

子育てを「知識と工夫」でもっと楽しく!
子どもの“やる気スイッチ”を発動する「4つの働きかけ」

コロナ禍での休校や時間差登校、リモートワークの普及等で、子どもたちも保護者も在宅時間が増えました。その中で、「子どもたちがなかなかやる気にならず、課題(学校や塾の宿題・習い事の練習など)が進まない」ことに保護者がイライラ… という場面も増えているようです。どうすれば、子どものやる気を引き出すことができるのでしょうか?

コロナ禍の昨今に限らず、「うちの子、“やる気”になるまでにとにかく時間がかかるんです。どうしたらいいでしょうか?」という質問は、教員時代から大変よく聞く、保護者の皆さんのお悩みの一つです。コロナ禍で親子が一緒に過ごす時間が増えて、より顕在化したのかもしれませんね。子育てに関するイライラ(ストレス)については、さまざまな要因が絡み合っているので一概には言えませんが、「子どものやる気を引き出すために使える知識(テクニック)」の引き出しをたくさん持っておくと、子どもとの関係構築や調整が少し楽になるのは確かだと思います。

例えば、次にご紹介するようなテクニックは、本誌をご覧の教育熱心な保護者の皆さんなら、一度はどこかで聞かれたことがあるかもしれません。もし「ちょっと足りていないな」と思うことがあれば、生活のいろいろな場面で意識して活用されると良いかと思います。

子どもをやる気にさせる!4つのテクニック

①競争させてみる!
②真似させてみる!
③ちょっと難しい課題を与えてみる!
④できたことを認めてあげる!

まず、①から順番に見ていきましょう。小学生のお子さんたちは、「競争」が大好きです。日常のちょっとしたこともゲーム感覚に仕立ててあげると、大変喜びます。友だちと競争させても良いですし、お父さん・お母さんと競っても良いと思います。競争となると子どもたちはがぜんやる気を出してきます。

次に、②「真似」も大好きです。近くにお手本となるお子さんがいたら、「あのお友だちすごいよね、ちょっと〇〇くんもやってみる?」と言ってやらせてみる。ほんの少しでもできれば、「うわ!すごいね、できたね!」と大げさに声をかける。すると、「僕も△△くんみたいにできるかも」と、もっともっと真似しようと思うんですね。

それができたら、次は③。「ちょっと難しい課題」を与えましょう。段階的にレベルを上げるんですね。これは頃合いが難しいのですが、「よ~し、次のは難しいよ!」って言いながら、ほんのちょっとだけ難しくする。できたらびっくりして「ええっ!こんな難しいこともできるようになったの?」とコメントしてあげましょう。そうやってちょっとずつちょっとずつレベルを上げていくと、本当に難しいこともできるようになっていくんですね。できるようになれば、自信もついてきますので、またやる気がアップする好循環になっていきます。

そして最後のスイッチは、④「できたことを認めてあげる」ことです。幼い頃は、お父さん・お母さんに認めてもらえるのが一番です。そこにおいては、「何を認めるか」が最も重要です。努力して習得した内容ももちろん大事なのですが、何よりも「そういう努力をできたあなた自身が、本当に素晴らしいね」という認め方をしてあげましょう。そうすることで、本人の心が満たされていきます。

あとは、やる気がちょっとでも出たら、それが続くような環境を整えてあげてください。興味・関心がすぐ他に移ってしまう場所であったり、時間がまちまちであったり、ではなく、「いつもこの時間、この場所で落ち着いて勉強するんだ」という習慣化を意識させましょう。

1

2 3

関連記事

特集記事

TOP