「学力考査の得点2倍」上位校受験生は要注意。
上位校を狙う受験生には、学力重視の傾向がより強まることも強調しておきたいところです。
従来の制度下では、一部の受験生の合否決定に際し「調査書の評定得点(内申点)と学力検査の得点を対等に足し合わせる方式、いずれかを重視して1.5倍にする方式」の3通りが採用されてきました。新制度では、全受験生を対象に、「いずれかを2倍」にする方式も追加すると入選協(愛知県公立高等学校入学者選抜方法協議会議)より提言されています。
上位校ではこの制度を活用し、「学力検査の得点を2倍」にする高校が多く出ると予想されます。これらの高校では、相対的に内申の比重が小さくなり、学力検査の得点がより重要度を増します。当日の得点力に磨きをかけることが、上位校合格を勝ち取る上で今以上に大切になってきます。
「マークシート」導入には、入試難化の可能性も。
最後に、試験方式の変更についても触れておきましょう。
「学力検査1回・2校出願」に加えた【マークシート方式の導入】は、受験日程の過密化防止や採点業務の負担軽減を見込んで採用されたと言われています。巷では「思考力・表現力・判断力」を重視する一連の教育改革に対して逆行しているのでは?と心配する声も聞かれます。
しかし、「マークシート方式」が採用されたからと言って、入試は簡単にはならないでしょう。
入試では、県内の全てのレベルの公立高校で、同一の問題で選抜が行われます。そこには、学力上位校においても適切に選抜が可能となる難問題も含まれるはずです。したがって方式が変わっても、各教科の受験者全体の平均点は、今までの入試とほぼ変わらないと思います。
一方で、「思考力・表現力・判断力」を重視する出題傾向は、これからも深化を続けるでしょう。「マークシート方式」になったとしても、問題文の長文化や選択肢の増加、「読み取る力」「考える力」を測る問題が多く出題されると予想されます。受験生の皆さんには、今まで以上に、深くしっかりと各教科を学ぶことに継続して取り組む姿勢が求められます。
皆さんの頑張りに、期待しています。
PROFILE
杉山 賢純(愛知県立旭丘高等学校 前校長・佐鳴予備校最高顧問)
東北大学卒。1984年より愛知県の理科(化学)の教員として勤務。2002年より愛知県教育委員会教職員課管理主事、主査、主任主査を歴任。県立起工業高校、高蔵寺高校、豊田西高校、旭丘高校の各校長として高校内での教育改革を遂行。日本繊維工業教育研究会会長、西三北地区校長会会長、名北地区校長会会長を歴任し、長年愛知県公立高等学校長会理事を務める。2018年から2021年3月末まで旭丘高校校長を経て、株式会社さなる(佐鳴予備校)に入社。最高顧問に就任。長年の教育現場での経験を生かし、公教育と民間教育との橋渡し役として、全国の生徒たちを真の学力向上・志望校合格へと導く。
【参考リンク】佐鳴予備校公式ホームページ/愛知県高校入試情報
https://www.sanaru-net.com/entrance-aichi/2023/