「ポストコロナ」を見据えた、次の時代の教育に関する準備が急ピッチで進められています。この6月にも、文部科学省の教育再生実行会議で「ポストコロナ期の新たな学びの在り方について(第十二次提言)案」がまとめられました。今、日本では国を挙げて、【新しい教育のスタンダード】を作る作業が行われています。
「令和時代のスタンダードな学校」とは?教育ICTの整備で、学校教育はどう変わるのでしょうか。
タブレットを一人一台配るとか、デジタル教科書が導入されるとか、色々な話を聞きますが、今後、何がどう変わるのでしょうか?
「児童・生徒に一人一台、コンピュータやタブレットなどのデジタル端末を配備する」という国の計画は、コロナ禍で前倒しされて、2021年4月には約98%の自治体で達成されました。遅れている名古屋市なども、順次整備予定です。デジタル教科書は令和6年度からの本格導入を目指していましたが、教育のICT化については、課題も多いのが現状です。
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どこまで進んだ?学校教育のICT化
2020年3月の学校休業要請、4月の緊急事態宣言は、「子どもたちの学び」に計り知れない影響を与えました。その影響は、今なおさまざまな形で続いていると言われます。今後、万が一同じことが起こった際、どのように学びを担保するのか。鍵を握るのが、“教育のICT化”です。では現状、どのくらい進んでいるのでしょうか?
2021年3月、文部科学省は、小・中学校などの児童・生徒に1人1台の端末を配備する「GIGAスクール構想」の進捗を発表。全国の自治体のうち、97.6%で子どもたちが使用可能な端末が整ったと発表しました。
「デジタル教科書」いつ導入?現状と課題は?
ただし、活用の鍵になるソフトウエアやコンテンツ開発はまだまだ…というのが現状です。話題の「デジタル教科書」は現状、利用にお金がかかるので、紙の教科書のように無償で配れるしくみが整うまでは、一律の導入は厳しいでしょう。ただ、文部科学省のここまでの発表を見る限り、無償化は既定路線と考えてよさそうです。
一方で、2024年(令和6年度)の小学校教科書改訂を一つの目標に議論を進めてはいますが、「インストールや保守にかかる手間や費用をどうするか?」「コンテンツのクラウド化、デジタルならではの強みを教科書自体にどう持たせるか?」などの課題は山積みです。また、子どもたちの健康に配慮し、デジタル教科書の使用は「各教科等の授業時数の2分の1に満たないこと」という規定がありましたが、これは今後、実証実験を経て、上限をなくす方向で進んでいます。
端末は揃いつつあるけど、うまく活用できるか、は課題ありなのですね。今の子どもたちの紙の教科書も、私たちの頃からするとずいぶん変わったな、と感じています。
そうですね。2020年改訂の小学校教科書も、2次元コードを使って音楽の収録曲を聴いたり、理科も実験器具の使い方が動画で見られるなど、さまざまな工夫が見られます。今後、ICT端末の普及で、ますます学びの形は変わっていくでしょうね。
アナログ×デジタルの両輪で、子どもたちのやる気を引き出す!
自分たちのICT端末でデジタル教科書を開き、授業を受ける。各教科の習熟度にあわせた最適な問題をデジタルドリルで解く。さらに採点や暗記ツールを使い、友だちと画面越しに協働しながら学習を進める…そんな「学び」が近い将来やってきます。また、ここで集まる子どもたちの学習状況を「教育ビッグデータ」と呼びますが、この活用法についても、今はまだ手探りの状態です。
今までは学校と家庭のデジタル格差があり、部分的には家庭のICT環境のほうが進んでいました。(もちろん、ご家庭によってもかなり差がありますが。)また、教育のデジタル化は進みますが、子どもたちの学びへの意欲ややる気があって、はじめて生かされるものです。大人が子どもたちに夢を語り、子どもの可能性を認め、子どものやる気を引き出す…。このアナログの教育とデジタルとが両輪になってはじめて、令和の時代の学びは力強く前進すると言えると思います。